お年寄りの命を脅かす危険な病気!


「誤嚥性肺炎」の実態と予防法

「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」という病気をご存知でしょうか?近年、高齢者の死因として注目を集めているこの病気は、実は予防可能な疾患なのです。通常、私たちが摂取する食物や唾液は、のどから食道を通って胃へと送られます。しかし、加齢による嚥下機能の低下や、様々な要因により、食道の隣にある気管に食物や唾液が誤って入ってしまうことで発症する肺炎です。特に夜間の就寝中に、知らず知らずのうちに唾液を誤嚥してしまうことも多いと言われています。原因となるのが、食物や唾液に含まれる歯周病菌などの細菌類です。これらが肺まで到達して炎症を引き起こし、特に抵抗力の弱い高齢者の方の死亡率を押し上げているのです。

歯周病予防が命を救うということが最新の研究結果からわかっています。

誤嚥性肺炎の原因となる細菌の多くは、実は歯周病菌であることが研究で明らかになっています。つまり、予防の重要なカギは「歯周病対策」にあったのです!研究によると、適切な口腔ケアを行うことで、誤嚥性肺炎の発症リスクを40%も低減できるという驚きの結果も報告されています。

■効果的な口腔ケアの方法

まずは、歯周病の有無をチェックし、症状がある方は早めの治療が必要です。日々のケアとして、以下の点に注意しましょう:
・歯ブラシでの丁寧なブラッシング(1日3回、各3分以上)
・デンタルフロスや歯間ブラシによる歯間部の清掃
・舌ブラシによる舌苔の除去
・入れ歯使用者は専用ブラシでの入れ歯清掃と定期的な洗浄剤使用
・就寝前の口腔ケアは特に重要です

また、3ヶ月に1回程度の定期的な歯科検診とプロフェッショナルクリーニングを受けることで、より効果的な予防が可能になります。

■唾液分泌を促す生活習慣の重要性

お口の中を自然に洗浄してくれる「唾液」の分泌量が減ると、歯周病のリスクが高まります。以下のような工夫で唾液分泌を促進しましょう
・口呼吸を避け、鼻呼吸を心がける
・食事はよく噛んで食べる(1口30回が目標)
・唾液腺マッサージを行う
・水分を十分に摂取する(1日1.5L程度)
・ガムを噛むなど、適度な刺激を与える

予防が何より大切!かかりつけ歯科医を持ちましょう

歯周病を予防し、お口の健康を維持することは、誤嚥性肺炎の予防だけでなく、全身の健康維持にも繋がります。定期的な歯科検診と日々の適切なケアで、健康な生活を送りましょう。分からないことがあれば、私たち歯科医療従事者にお気軽にご相談ください。一緒に誤嚥性肺炎の予防に取り組んでいきましょう!