歯石はぜったい取ったほうがいいの?
歯の周りにつく石のようなもの「歯石」。これって放っておいても大丈夫なのでしょうか?それとも早めに取り除くべきなのでしょうか?結論から言えば、「できるだけ早く取り除いた方がいい」です。今回は、一見ただの石のように見える「歯石」について、その形成過程や影響を含めて、もう少し詳しく考えていきましょう。
穴がいっぱい!歯石は細菌の温床だった!!
■そもそも歯石ってなに?その形成過程
歯石は、お口の中のプラーク(細菌の塊)が唾液に含まれるカルシウムやリンなどのミネラル成分と結びついて、石のように固くなったものです。驚くべきことに、プラークが歯の表面に残っていると、わずか48時間で歯石に変化してしまうと言われています。いったん歯石になってしまうと、通常の歯磨きだけでは取り除くことができません。これが、歯科医院での定期的なクリーニングが重要とされる理由の一つです。
■歯石自体に害はあるの?
歯石は基本的に無機物の塊なので、それ自体には直接的な害はありません。しかし、その存在が間接的に様々な口腔内の問題を引き起こす原因となります。
■では、なぜ取り除いた方がいいの?その危険性は?
歯石が危険な理由は、その表面構造にあります。歯石は軽石のように無数の小さな穴や凹凸があいており、そこを歯周病菌や虫歯菌たちの格好の住処として利用されてしまうのです。これらの細菌は歯石の中で増殖し、様々な口腔内のトラブルを引き起こします。
例えば、歯周病菌が増殖した歯石が歯茎の近くにあれば、歯肉の炎症や出血が起こります。さらに深刻なのは、歯周病菌が分泌する毒素によって、歯を支える歯槽骨が徐々に溶かされていくことです。この進行を放置すると、最終的には大切な歯が抜け落ちてしまう可能性があります。
また、歯石は歯垢(プラーク)が付着しやすい表面を持っているため、新たな歯垢の蓄積を促進し、虫歯のリスクも高めてしまいます。
■予防と対策
残念ながら、どんなに丁寧に歯磨きをしても、プラークを完全に取り除くことは非常に困難です。そのため、ある程度の歯石の形成は避けられません。お口の健康を保つためには、定期的に歯科医院で専門的な歯石除去(スケーリング)を受けることが非常に重要です。
また、歯石は口臭の主な原因の一つでもあります。他人に不快な思いをさせないためにも、きちんとした口腔ケアを心がけましょう。
日々のケアとしては、丁寧な歯磨きに加えて、フロスや歯間ブラシを使用して、歯と歯の間の清掃も忘れずに行いましょう。また、定期的な歯科検診を受けることで、早期に問題を発見し、対処することができます。
さて、来月は【お年寄りは注意!歯周病と肺炎の関係】についてお話しします。口腔内の健康が全身の健康にも大きく影響することを、詳しくご説明いたします。お楽しみに!