歯周病は成人の8割が罹患している国民病
歯周病は世界でもっとも患者数の多い感染症
歯周病は、歯を支える歯ぐき(歯肉)が炎症を起こし、次第に歯槽骨が壊され、最終的には歯が抜け落ちてしまう病気です。世界でもっとも患者数が多い感染症といわれ、日本でも歯肉炎と歯周病疾患で治療を受けている人はおよそ400万人(厚労省2017年患者調査による)いるとされ、40歳を超えると約8割がかかっている国民病といってもおかしくない病気です。
一度かかると自然に治ることはありません。虫歯とともに日本人が歯を失う二大原因のひとつで、若いうちは虫歯による喪失が多いものの40代後半からは歯周病のほうが多くなり、全体として歯を失う原因の第1位となっています。
さらに、炎症が続くと歯周病菌や菌の出す毒素が血流に乗って全身に運ばれ、さまざまな疾患を引き起こすともいわれています。また、年代が上がるほど症状が進行した人の割合が
増え、45歳以上になるとセルフケアだけでは回復が見込めない状態の人が3割を超えるなど、中高年にとっては身近で恐ろしい病気となっています。
静かに進行するサイレントディジーズ(沈黙の病気)
歯周病がこれほど多くの人を悩ませている大きな要因に、痛みなどの自覚症状が少なく早期発見が難しいため、気づいたときには重症化していることが多いということがあります。そのため、歯周病は「サイレントディジーズ(Silent disease:沈黙の病気)」とも呼ばれます。
初期の段階ではなかなか気づきにくい病期です。
なお、歯周病は歯周組織に起きる病変の総称で、正確には「歯肉炎」や「歯周炎」、「歯槽膿漏」に分かれます。炎症が歯ぐきにのみ見られる状態を「歯肉炎」、炎症が進み、歯ぐきから歯槽骨、歯根膜にまで広がった状態を「歯周炎」といいます。
慢性の歯肉炎がさらに進んで炎症がひどくなり、歯ぐきが化膿してしまった状態は「歯槽膿漏」と呼ばれ、ひどい痛みと口臭があります。
日本臨床歯周病学会では、歯周病のセルフチェックとして、以下の症状を挙げています。
歯周病をセルフチェックしよう!
【チェック項目】
□朝起きたとき、口の中がネバネバする
□歯磨きをすると出血する
□口臭が気になる
□歯肉が痛む、むずがゆい
□歯ぐきが赤く腫れている(健康な歯肉はピンク色で引き締まっている)
□かたいものが噛みにくい
□歯が長くなったような気がする
□前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間ができて、食べものが挟まるようになった
【診断】
■3項目あてはまる。
歯周病と断定はできませんが、油断は禁物。毎日のブラッシングと、歯科医院での定期的な検診で予防に務めましょう。
■6項目あてはまる。
歯周病が進行している可能性があります。歯科医院で相談しましょう。
■全項目あてはまる。
歯周病がかなり進んでいます。歯を守るためにも、すぐに治療をはじめましょう。